湯灌の始まり
2017.09.29
『日本書紀』には「天皇(すめらみこと)、乃ち沐浴(ゆかはあみ)齋戒(ものいみ)して、殿(みあらか)の内を潔淨(きよまは)りて」、「沐浴齊戒して、各(おのおの)盟神探湯(くかたち)せよ」と記されております。
身を斎(い)み浄めるための「沐浴(斎川浴)」は「ゆかわあみ」と読まれており、転じて「湯灌」(ゆかん)となったとの説があります。
古代インドにおいて、国王の即位式の際、海の水を集めて頭頂に灌(そそ)いだ灌頂(かんじょう)の儀式が、仏教界でも出家の儀式などとして行われるようになり、中国を経て日本へ伝えられました。
日本では、最澄が高雄山寺で初めて灌頂を行い、空海が本格的に灌頂の儀式を始めました。
また、江戸時代末期まで、天皇の即位式には「即位灌頂」という儀式が行われておりました。
真言宗では入棺の際にも灌頂の儀式が行われており、それが葬儀の際に行われる湯灌の始まりであるとも伝えられております。